監理支援機関の許可申請|「事務所に係る提出書類」でつまずかないための実務ポイント

外国人技能実習機構(OTIT)が公表している「監理支援機関許可申請に係る提出書類一覧・確認表」では、事務所に関する書類が⑲〜㉒に整理されています。これらはいずれも「◎」の書類、つまり監理支援事業所ごとに提出が必要な書類です。
前回の記事では、
「育成就労制度の許可申請に伴う「事業所」の物理的要件まとめ。所在地、構造、設備、面積等について。」
と題して、事務所の物理的な要件を中心に確認をしてきました。
今回のコラムでは、実際の提出書類一覧から、事務所に係る書類を提出する上でのポイントをまとめてみようと思います。
事務所関係の書類は、単に住所を確認するためのものではありません。
「申請した場所に、監理支援事業を適切に行える事務所が確保されているか」を確認できるよう、登記事項証明書・賃貸借契約書・平面図・写真などを組み合わせて提出することになります。
1.不動産登記事項証明書(⑲-1)
まず、監理支援事業を行う事務所が入っている建物の登記事項証明書(全部事項証明書)を提出します。
重要なのは次の3点です。
土地の登記事項証明書は不要
賃貸物件でも提出が必要
監理支援事業所が複数ある場合は、それぞれについて提出
つまり、「賃貸物件だから建物の登記事項証明書は提出しなくてよい」という扱いではありません。
一方で、土地の登記事項証明書については不要とされています。
2.同一所在地証明(⑲-2)
次に注意したいのが同一所在地証明です。これは、不動産の登記事項証明書に記載された所在地と、賃貸借契約書の住所地が異なる場合に提出する書類です。
例えば、
登記簿では「○○番地」
賃貸借契約書では「○○番○号」
というように、登記上の所在地と契約書上の住所が食い違っているケースがあります。この場合には、市区町村役場が発行する同一所在地証明(住所(所在地)表示変更証明書)を提出します。
申請準備の早い段階で、登記事項証明書 → 賃貸借契約書の順に住所表記を突き合わせておくと安心です。一致していない場合は、同一所在地証明が必要になる可能性があります。
3.不動産賃貸借契約書の写し(⑳)
監理支援事業所が賃貸物件の場合には、不動産賃貸借契約書の写しを提出します。複数ある場合は、すべての事業所について提出が必要です。
転貸借の場合は要注意
特に注意したいのが転貸借(又貸し)です。例えば、
建物所有者 → A社が賃借 → 監理支援機関がA社から転借
という関係であれば、申請者とA社との転貸借契約だけでは足りず、原賃貸借契約書+転貸借契約書の写しを提出することが求められています。
これは、OTITが不動産の所有者から申請者までの権利関係を確認するためです。複数の契約を経由している場合には、それぞれの契約関係が確認できるよう、事前に書類を整理しておきましょう。
申請者自身が所有する物件の場合
監理支援機関になろうとする法人自身が所有している物件を事務所として使用する場合は、賃貸借契約書の提出は不要です。
一方、代表理事などの役員が個人で所有している物件は、この例外には含まれません。OTITの提出書類一覧でも、役員個人所有物件は「提出不要」の扱いから除外されています。
そのため、法人が役員個人の所有物件を事務所として使用する場合には、法人と個人との間の賃貸借関係など、適切な権利関係を確認できるようにしておく必要があります。
4.育成就労実施場所までの移動時間が分かる書類(㉑)
監理支援事業所から育成就労実施場所までの移動時間が分かる書類も、提出書類に含まれています。OTITの提出書類一覧では、交通機関アプリケーションの検索結果の写しなどが例示されています。
Googleマップ等の経路検索結果
公共交通機関の検索結果
その他、移動時間が確認できる資料
すべての実施場所について提出するわけではない
重要なのが例外です。監理支援機関の事業所と育成就労実施場所との距離が、「業務時間内に日帰りで往復することが明らかに可能な位置関係」である場合には、この書類を提出する必要はありません。
離島など、日帰り対応が難しい場合
一方、離島に育成就労実施者の事業所がある場合など、交通事情によって日帰りでの対応が不可能なケースでは、追加の対応が必要になります。
この場合には、監理支援機関の役職員が到着するまでの間の一時的な避難先(宿泊施設等)として選定した施設について、
名称
住所
連絡先
が分かる資料を提出します。
さらにOTITは、このような例外的な対応をとる場合であっても、迅速な対応を行える場所に事業所を設置していない場合には、適切な保護体制を有していないと判断されることがあるとしています。具体例として、当該離島が属する都道府県内や隣接する都道府県内に事業所を設置していない場合が挙げられています。
遠隔地を担当する場合は、「避難先を用意すればよい」という単純な問題ではなく、迅速に対応できる体制そのものをどう構築するかという観点から検討することが重要です。
5.平面図(㉒-1・㉒-2)
平面図は2種類あり、求められる範囲がそれぞれ異なります。
書類 | 対象範囲 |
|---|---|
㉒-1 建物の平面図 | 建物の入口があるフロア全体+監理支援事業所があるフロア全体 |
㉒-2 監理支援事業所の平面図 | 監理支援事業所の内部 |
㉒-1 建物の平面図
対象となるのは、建物の入口があるフロア全体と、監理支援事業所があるフロア全体です。事業所の部屋だけを切り取った図面ではなく、建物内での位置関係が分かるようにします。
平面図には次の内容を記載します。
建物入口から監理支援事業所入口までの動線
階段
廊下
エレベーター
他の事業者名等
さらに、㉒-3の建物写真の撮影方向が分かるよう、矢印と番号を平面図に記載します。
㉒-2 監理支援事業所の平面図
こちらは監理支援事業所そのものの内部を示す平面図です。OTITは次の記載を求めています。
面談スペース
オフィス家具
フロアの寸法
すべてのドアの配置
こちらも、㉒-4の写真がどの方向から撮影したものか分かるよう、矢印と番号を付けます。
面談スペースが別の階にある場合
面談スペースを事務所以外の場所、例えば他の階などに設置している場合は、別途、動線付きの平面図を提出する必要があります。
「20㎡」と面談スペースの関係にも注意
監理支援事業所については、OTITのFAQで、面積がおおむね20㎡以上であることが求められるとされています。
ただし、単に20㎡以上あればよいというわけではなく、
事務機器の設置
情報管理
来訪者対応
適切な動線
など、監理支援事業を行うために支障のないレイアウトであることも求められます。また、相談応需を行う場所については、個室やパーティション等によってプライバシーを保護できる構造が必要とされています。
事務所の面積を検討する際は、「20㎡の事務スペースとは別に面談室を用意しなければならない」と単純に考えるのではなく、事務所全体の面積・レイアウトの中で適切な相談応需スペースを確保できているかという視点で検討することが重要です。
6.建物の写真(㉒-3)
写真についても、かなり具体的な指定があります。
提出する写真には次のようなものが含まれます。
建物の全景(正面・側面・背面)
建物入口から事業所入口までの動線に沿った写真(建物入口、廊下、ホール、階段等)
外看板
郵便受
入居事業者案内
監理支援事業所入口ドア(看板含む)
また、平面図と対比できるよう写真には番号を付け、A4用紙1枚につき1〜4枚程度に収めることが求められています。
7.事務所内部の写真(㉒-4)は特に注意
事務所内部については、次の写真を準備します。
① 事務所内部の全景
各部屋について、隅から中央に向けて2方向から撮影します。
② 個人情報の保管場所
個人情報を保管する設備について、施錠可能な設備であることが分かる写真を提出します。さらにOTITは、鍵を付けた状態で撮影するよう明記しています。
③ 面談スペース
面談スペースについては、プライバシーに配慮し、覗かれない構造であることが分かるようにし、2方向以上から撮影します。
ドアの開閉にも指定があります
事務所内部の写真については、隣室とのつながりが分かるよう、ドアを開けた状態で撮影します。
一方、面談スペースについては、ドアを閉めた写真も提出します。ここは見落としやすいポイントです。
以下は写真と平面図を対応させることを表現したイメージ画像となります。
※この画像では2方向からの撮影などが不足しておりますので、あくまで参考とするに留めてください。

事務所関係の提出書類チェックリスト
書類・確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
⑲-1 建物の登記事項証明書 | 賃貸物件でも必要/複数事業所は各事業所分/土地は不要 |
⑲-2 同一所在地証明 | 登記上の所在地と賃貸借契約書の住所地が異なる場合に確認 |
⑳ 賃貸借契約書 | 複数事業所は各事業所分/転貸借なら原契約+転貸借契約 |
役員個人所有物件 | 法人所有物件の例外にはならないため、権利関係を整理 |
㉑ 移動時間資料 | 日帰り往復が明らかでない場所について確認 |
遠隔地・離島 | 一時的な避難先+迅速な対応体制を検討 |
㉒-1 建物平面図 | 建物入口・対象フロア全体・動線・階段等を記載 |
㉒-2 事務所平面図 | 面談スペース・家具・寸法・全ドアを記載 |
写真番号 | 平面図と写真が対応するよう番号を統一 |
㉒-3 建物写真 | 全景・入口・動線・外看板・郵便受等 |
㉒-4 事務所写真 | 内部全景・個人情報保管場所・面談スペース |
鍵 | 個人情報保管設備は鍵を付けた状態で撮影 |
面談スペース | プライバシーに配慮し、覗かれない構造か確認 |
写真の配置 | A4用紙1枚につき1〜4枚程度 |
まとめ
監理支援機関の許可申請における事務所関係の書類は、大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。
① 権利関係を確認する書類 建物の登記事項証明書/同一所在地証明/賃貸借契約書
② 移動・対応体制を確認する書類 育成就労実施場所までの移動時間資料
③ 事務所の実態を確認する書類 建物平面図/事務所平面図/建物写真/事務所写真
特に平面図と写真については、「事務所がどこにあり、どのような構造になっているのか」を第三者が確認できるようにすることが重要です。
そこで、準備は次の順番で進めると、書類同士の食い違いを防ぎやすくなります。
登記事項証明書と賃貸借契約書の住所を確認する
所有関係・転貸借関係を整理する
事務所の平面図を作成する
写真の撮影位置と番号を平面図に記載する
その番号に合わせて写真を撮影する
また、事務所の面積やレイアウトについては、単に「20㎡以上」という数字だけを見るのではなく、監理支援事業を適切に行えるスペース・動線・相談応需のためのプライバシー確保ができているかという点まで含めて確認することが重要です。
なお、監理支援機関の許可申請については、2026年4月15日から施行日前申請が開始されています。現在もOTIT・出入国在留管理庁から資料が更新されているため、実際に申請する際には最新の提出書類一覧・確認表を確認することをおすすめします。
